人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 その晩、私は千歳さんに手紙を書いた。
 伯父さんの元へ行かなきゃいけなくなったこと、うさまるをまだ探していたらそれを中断してほしいこと、それからあの日のお礼も添えて。

 借りたままの迷彩柄の隊服とともに、彼に明日渡そう。そう思って、夜を過ごした。

 翌朝、避難所に来ていた自衛官に、手紙とともに千歳さんの隊服を渡した。彼に届くように、祈りながら。

 それから、うさまるに最後の別れを告げに桜の木のところまでやってきた。今日は最後だから、祖母も一緒だ。

 桜の木から向こうには相変わらず規制線が張られ、特有の湿った土の匂いが立ち込めている。だけど、私はすぐに昨日との違いに気づき、桜の木の元に駆け寄った。

「うさまる……」

 そこにあったのは、私が作った〝うさまる〟のプレート。両親がまだ生きていた頃に一緒に作った木の札で、うさぎ形に切ったプレートに〝うさまる〟と文字を掘ったものだ。
 うさまるのゲージに取り付けていたものが、ここにあるなんて。
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