人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「睦姫さんのことで、あなたを不快にさせてしまいましたね。あなたが俺を嫌いになったなら、俺は身を引くつもりです。でも、せめて〝千歳〟が見つかってからにしてほしいです。俺は、あなたのために必ず千歳を――」

「もういいんです。あとは、私ひとりで探しますから」

 彼の言葉を遮り紡ぐ。
 私は桜の木の方を向いた。はらはらと舞い散る桜の花びらの下にいる、うさまるを助けてくれた〝千歳さん〟。私がここに来たのは、千歳さんを探すために、もう一度気合を入れるためだ。

 そこまで思って、ふと疑問が浮かんだ。勇朔さんはなぜここに?

「あの――」

 そっと、口を開いた。さきほどから時間も経ち、少しは気持ちが落ち着いた。
 勇朔さんは「何でしょう?」と優しい笑みをこちらに向けてくれた。

「ここが、勇朔さんにとって『大切な場所だから』というのは、一体――?」
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