人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 すると、勇朔さんは少しだけ顔を歪め、「うーん」と考えるようにこちらに戸惑いの視線を向ける。それから、そっと口を開いた。

「もしも苦しくなったら、止めてくださいね」

 そう前置きをして、話しだす。

「八年前、土砂災害のあった日。うさまるくんをこの場所に土葬したのが、俺だからです」

 彼の声は小さく、けれどはっきりとしていた。

 私は目を見開いた。
 いや、でもそんなはずはない。あの日、私を助けてくれたのは千歳さんのはずだ。それに――。

「でも、勇朔さんはあのとき、まだ大学生でしたよね?」

「ええ。あの頃の俺は〝予備自衛官補〟で、あの土砂災害が、俺にとって初めての災害派遣活動でした」
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