人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
【4章 守りたい大切なもの】
1 あの日の真実(勇朔SIDE)
八年前。
その年、春の嵐が局所的に発生し、日本全国で天候不良による災害が頻発していた。
天気予報が伝えるのは、神奈川県西部と静岡県に、線状降水帯が発生したということ。一ヶ月の雨量を超える雨が、その地に一気に降っているらしい。
当時大学三年だった勇朔は、もどかしい気持ちでそのニュースをスマホで見ていた。
建築士として働く兄は、有事の際に招集され自衛官として勤める予備自衛官補だ。
震災のときに仮設住宅を設計したりする兄の活躍ぶりを見ていた勇朔は、自分も有事のときには人の役に立ちたいと、十八歳のとき大学に通いながら志願し、無事予備自衛官補となった。
当時、勇朔には別の夢があり、それを叶えるために〝自衛官〟ではなく〝予備自衛官補〟という立場を選んだのだ。
しかしそれから三年。なかなか有事は訪れず(訪れないほうがもちろん良いのだが)、招集は年に一度の訓練のみ。それでも日々筋トレは怠らず、体力作りをしながら毎日を過ごしていた。
だがその日、初めての招集がかかる。神奈川西部で起きた土砂災害の、後方支援部隊として現地に赴いてほしいというものだった。
土砂災害や大雨により孤立する集落が頻発している影響で、自衛隊の災害派遣も人手不足となっていたのだ。
その年、春の嵐が局所的に発生し、日本全国で天候不良による災害が頻発していた。
天気予報が伝えるのは、神奈川県西部と静岡県に、線状降水帯が発生したということ。一ヶ月の雨量を超える雨が、その地に一気に降っているらしい。
当時大学三年だった勇朔は、もどかしい気持ちでそのニュースをスマホで見ていた。
建築士として働く兄は、有事の際に招集され自衛官として勤める予備自衛官補だ。
震災のときに仮設住宅を設計したりする兄の活躍ぶりを見ていた勇朔は、自分も有事のときには人の役に立ちたいと、十八歳のとき大学に通いながら志願し、無事予備自衛官補となった。
当時、勇朔には別の夢があり、それを叶えるために〝自衛官〟ではなく〝予備自衛官補〟という立場を選んだのだ。
しかしそれから三年。なかなか有事は訪れず(訪れないほうがもちろん良いのだが)、招集は年に一度の訓練のみ。それでも日々筋トレは怠らず、体力作りをしながら毎日を過ごしていた。
だがその日、初めての招集がかかる。神奈川西部で起きた土砂災害の、後方支援部隊として現地に赴いてほしいというものだった。
土砂災害や大雨により孤立する集落が頻発している影響で、自衛隊の災害派遣も人手不足となっていたのだ。