人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 勇朔は招集に応じ、支給された陸上自衛隊特有の国防色、オリーブドラブ色の作業服に着替えた。
 それからすぐに高機動車に乗り、現場に向かう。

 任されるのは後方支援だとばかり思っていたが、勇朔に与えられた任務は要救助人の救出だった。
 といっても、土砂を堀り自ら探すわけではなく、助け出された救助人を安全な場所まで運び届けるのが使命だ。

 救命隊や自衛隊医療チームから大丈夫だと認定を受けた人を、避難場所まで運び届ける。
 力仕事であると同時に、助け出された彼らの命を保証する、大切な任務だ。

 初めての任務に緊張しながら、人の役に立てるという高揚感と使命感を胸に現場へ向かう。
 すると現場入りする直前、高機動車の窓から制服姿の少女が規制線を越えていくのが見えた。スカートの丈やその化粧っ気のなさから、おそらく中学生だと悟る。

 なぜ、わざわざ危険な方へ?

 気になり、現場入りした勇朔は救助隊や自衛官の救助作業の間、彼女を探すことにした。
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