人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「うさまるは、俺が必ず見つける。だから、あなたは戻りなさい。このままでは、体が冷えてしまう」

 こんなことを言って、俺がどうにかできる保証は何もない。
 だけど、そっと彼女の頭を撫でるように触れると、彼女は黙ったまま素直に首を縦に振った。

 駆けつけた警察官によって保護され去っていく彼女の背中を見つめた。

 作業着は撥水性だが、中に着ているシャツは雨を吸い込む。雨に濡れ、肌は冷たくなってゆく。
 それと同時に、思考が冷静になっていった。

 つい、あんな事を言ってしまった。自分はなんの力もない、予備自衛官補という立場なのに。
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