人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 その夜、勇朔は自身の勤務時間を終えたあと、少女と出会った現場へ来ていた。

 ヘルメットにつけたライトで足もとを照らしながら、必死にスコップで土砂を掘り返す。しかし、探しているうさぎは、いっこうに見つからなかった。

 翌日も勤務時間を終えると、勇朔はその場所へ向かった。

 勤務時間外だから、誰にも咎められない。しかし、なかなかうさぎは見つからない。
 勇朔は焦っていた。自分がこの場所への派遣を命じられた期間は、五日間。二日間、なんの手がかりもなく〝うさまる〟を探している。そして、全く見つからない。

 自主的にしていることだから誰かに頼むわけにもいかない。そもそも、きっとほかの隊員に言ったところで、『そこまでは俺たちの仕事じゃない』と断られてしまうだろう。

 しかし、あの少女との約束を破るわけにはいかない。彼女が大人しくあの場から去ったのは、きっと自分に希望を託してくれたからだ。
 だからこそ、彼女の希望を見つけ出さなくてはならない。
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