人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「でも芽郁さんを見つけて、俺の信念は間違っていなかったのだと、安堵しました」

 言いながら、勇朔さんの視線は私の手もとに向けられる。

「マッチングアプリの画面に映ったあなたの笑顔と、そのうしろに写っていたそのプレートのおかげです」

 勇朔さんは再び私と目を合わせた。優しく、愛おしそうな顔をして。

「俺はスマホの画面に笑顔で映るあなたに、救われたんです。俺のしてきたことは、俺の目指すものは、間違ってはいないのだと、そう言ってもらっているようでした」

「じゃあ、勇朔さんは私があのときの少女だと、最初から知ってたんですか?」

「ええ。言い出せなくて申し訳なかったです。動物園でうさぎを見たあなたが泣き出してしまったとき、あなたの傷はまだ癒えていないのだと思い知り、この話をすることを避けてしまっていました」

 そう、だったんだ。

 私はずっと探していた人が近くにいた事に気づかなかった自分の滑稽さにため息を漏らし、同時に勇朔さんの優しさに目頭が熱くなった。
 この人は、どこまで優しいのだろう。
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