人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「それで、あなたに会いたいとマッチングアプリに登録しました。実際にお会いして、強く逞しく生きているあなたに、どんどん惹かれました。だから〝千歳〟を探していると聞いたときは、正直嫉妬をしました。あなたはずっと、〝千歳〟を慕っているのでしょうから」

 勇朔さんはそこまで言うと、ぐっと拳を握りしめた。
 だけど、私が「違います」と言うよりも早く、次の言葉を紡ぐ。

「そして、睦姫さんとのことを黙っていた俺にとうとうあきれたんですよね。だから、部屋を出て――」

「違います!」

 今度は負けないように叫んだ。きっと、思いが溢れたのだと思う。こんなに素敵な、優しい人にあきれるわけがない。むしろ、その逆だ。
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