人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「私、睦姫さんに言われたんです。勇朔さんが出世するには、私なんかより睦姫さんと結婚したほうがいいって。勇朔さんは、出世したいって言っていたから、私と出会わなかったら、きっと勇朔さんはそのまま結婚して、出世して夢を叶えられたのにって思って」

 言いながら、身勝手な言い分に口をつぐんだ。これでは、まるで勇朔さんに引き止めてほしいと言っているみたいだ。
 案の定、勇朔さんは目を見開く。私は耐えられなくなって、またうつむいた。すると、勇朔さんはそんな私の頭に優しく、ぽすんと手をおいてくれた。

「あなたと出会ったからといって、夢を諦めるつもりはありません。睦姫さんと結婚などしなくても、出世してみせますよ。それに」

 そこまで言うと、勇朔さんはうつむいた私の顔を覗き込んできた。

「俺にとって必要なものは、俺の道標は、あなただけなんですよ。あなたと再会する前も、再会してからもずっと」
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