人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 ガラガラゴロゴロと建物が崩れる音がした。しかし、いつまでたっても衝撃は訪れない。雨に濡れた砂と埃っぽいにおいがするのに、私はどこも痛くない。

 やがて揺れは収まり、大地が静まる。私はそっと目を開けた。暗がりに、どうにか目を慣らす。

「芽郁さん、大丈夫ですか?」

 すぐ近くから、勇朔さんの声がした。声が狭い空間に響く。彼の息遣いの音に耳をすますと、目の前に彼の顔があることに気がついた。

「平気、です」

 そう答えると、「良かった」と安堵の声がする。

 徐々に目が慣れてくる。すると、勇朔さんが私の上に覆いかぶさるように空間を作ってくれていることに気がついた。
 周りは瓦礫や手桶、柄杓が散乱し、すぐ横には木の柱がむき出しになって斜めに倒れていた。きっと折れてしまったのだろう。
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