人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「勇朔さんは、平気なんですか?」

 思わず大声が出た。声が小さな空間に響く。

 この空間の中には、確かに降っているはずの雨の音も聞こえない。
 そんな瓦礫だらけの空間だけど、勇朔さんが地面に手をつき両腕を伸ばし、四つん這いの体勢で私の上にいるから、私と勇朔さんの間には空間すらある。

 私の体には一切なにも触れていないから、きっと私全体をこの瓦礫から庇ってくれているのだろう。

「平気です、俺は普段から鍛えているので」

 そう言う勇朔さんは余裕の笑みを浮かべる。それで、私は少し安堵できた。

「強いて言うなら、少しだけ足を縮めていただけると」

「あ、はい」

 慌てて足を曲げ、うずくまるような体勢になる。
 すると勇朔さんはほっと息をこぼし、私の足が無くなったその空間に膝をついた。
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