人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「すみません、私のために」

 とっさに助けてくれた勇朔さんはかっこいいと思う。だけど、私がプレートに手を伸ばさなければ、こんなことにはならなかったはずだ。勇朔さんに申し訳ない。

「大切な芽郁さんに、怪我がなくて良かったです」

 泣きそうになる私に、勇朔さんはそう微笑んでくれる。

「今は、ここから脱出しないといけません。通報をしましょうか」

 しかし、すぐにはっとした。うさまるのプレートに手を伸ばしたとき、私はとっさにスマホから手を離してしまった。どこにあるのかは分からない。

「勇朔さん、私――」

「大丈夫です。上着の右胸のポケットに、俺のが入っていますから」

 勇朔さんの声は、私に安心感をくれる。こんな状況でも心が落ち着いていられるのは、勇朔さんのおかけだ。
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