人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「勇朔さん、大丈夫ですか? もう少し体を下にしても――」

「いや、大丈夫です。これ以上体を下げたら、俺自身が重みに耐えられないと思います。俺の体重だけでも、あなたを潰してしまいかねないので」

 勇朔さんはまるで冗談のように笑いながらそう言った。
 しかし、それが冗談ではないことはすぐにわかった。勇朔さんの額に、汗が滲んでいたのだ。

 そのことに気がついてしまうと、それまで平常だった心臓が急にドクリと鳴る。
 勇朔さんは、かなり無理をしているのかもしれない。

「そんな不安そうな顔をしないでください。あなたのことは、俺が必ず守ります」

「でも――」

 言いかけたとき、再び大地が揺れた。思わず言葉をのみ込む。
 背中からダイレクトに伝わる揺れは、私の胸をドクドクと嫌な音に染め上げる。

「怖いですね。でも、大丈夫です。俺がいます」

「違うんです、私は――」
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