人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「救助隊です! いたら返事をしてください!」

 瓦礫の向こうから、男性の声が聞こえた。

「ここだ! ここにいる!」

 勇朔さんは大きな声を出す。しかし、その瞬間に彼の顔は苦しそうに歪んだ。

「勇朔さん!」

「大丈夫です。俺が、あなたを絶対に守り抜く」

「そんなのダメです! 勇朔さんも助かってください!」

 思わず声を大にする。勇朔さんは辛そうに、けれど私を安心させるためなのか笑みを浮かべていた。

「ここですね!」

 救助隊の声がする。もう一度大きな声を出そうと勇朔さんは息を吸い込んだ。だけど、それより早く私は口を開いた。

「ここにいます! ここです!」

 勇朔さんは一瞬目を見開き、それから優しく微笑んだ。

「ありがとう、助かります」
< 152 / 178 >

この作品をシェア

pagetop