人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 やがて、救助隊により瓦礫を運んでいるような、がちゃがちゃという音が聞こえてきた。そのたび勇朔さんは背中をもぞもぞと動かす。私も「ここにいます」と大声を出し続けた。

 少しずつ雨水が瓦礫の中に垂れてきて、外の雨がこちらに染みてきているのだと分かった。

「もうすぐですからね」

 救助隊の声は心強い。私も勇朔さんと顔を見合わせ、互いに「頑張りましょう」と目配せをした。

 大丈夫だ。私たちは、絶対に助かる。

「ここです!」

 がちゃりと近くの瓦礫が動いた音がして、私はいっそう大きな声を出した。
 冷たい雨がぽたりと顔に垂れ、それからライトのような光がこちらを照らした。救助隊員のヘルメットについたライトだ。

「こちらですね」

 救助隊員はふたり。手早く私たちの上部の瓦礫をどかしながら、こちらの状況を確認してくれる。

「他に、どなたかいますか?」

「いえ、ふたりだけです」

 私が答えると、勇朔さんが口を開いた。
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