人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「彼女を先に救出してほしい。彼女は挟まれてはいないが、地震の前から随分雨に濡れてしまっていた。体が冷え切っていると思う」

「わかりました」

 救助隊員はそう言うと、向こうの方にいるらしい誰かを呼ぶ。
 すると別の隊員がやってきて、私の両わきを固定するように抱えると、瓦礫の下から引っ張り出してくれた。

 引っ張り出される時に、勇朔さんはそっと「よかった」とつぶやく。
 私は、もうすぐ勇朔さんも助かりますからね、と気持ちを込めて、微笑みを返した。
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