人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています

3 愛しい人

「手を止めろ! クラッシュ症候群かもしれない」

 ひときわ厳しい声が響き、救助隊員は勇朔さんの足元を覆う瓦礫を撤去する手を止めた。

「なん、で……?」

 声が漏れ、慌てて口を覆った。

 勇朔さんは、助からないの? 私だけが、助かったの? そんなの――。

 時間差でぼろぼろと涙がこぼれ出す。

 嘘、そんなの嫌だ。勇朔さんと一緒に、助かりたかった。

「あなた、彼とずっと一緒でしたか?」

 先ほど大きな声を出した救助隊員がこちらにきて、声をかけてくる。はい、と頷くと、彼は私の顔をじっと見て言った。

「彼がどのくらいの時間、ここに閉じ込められていたか分かりますか?」

「えっと……地震が起きてすぐ、それからずっとです。強い揺れがきて、ここが倒壊して――」

 言いながら当時のことを思い出す。勇朔さんはとっさに私をかばってくれた。どこか、体にダメージを受けたのかもしれない。
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