人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 言いながら最悪の未来を想像してしまい、次々に涙があふれだす。
 すると、彼は駆け寄ってきた別の隊員にペットボトルを渡し、何かを指示すると私の前に戻ってきた。

「無責任なことは言えませんので、絶対に助かるかと訊かれれば、答えはノーです」

「そん、な……」 

 思わずその場にへたり込みそうになる。救助隊員の男性はそんな私を文字通り支えてくれた。

「彼は現在、意識混濁。予断を許さない状態です。クラッシュ症候群が疑われますが、こういうときに一番助けになるのは、大切な人の想いだと私は思います」

 彼はそう言いながら、ちらりと勇朔さんの方を見る。
 勇朔さんは他の救助隊員によって、ペットボトルの水を口に注がれていた。
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