人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 私が毎日病院に行くために駐屯地内に入るので、色々な自衛官の方とも話すようになった。

 私が驚いたのは、勇朔さんの顔の広さだ。

 誰かに会えば「羽田一尉の婚約者さん」と、声をかけられる。
 それで、彼がどれだけ慕われているか知ると同時に、〝マッチングアプリで一目惚れした女性に猛アタックして婚約に漕ぎ着けた〟という伝説を生みだした事を知った。
 この件に関して、勇朔さんは特に気にしていないらしいが、どうしても私は恥ずかしい。

 入院中、勇朔さんとはたくさん話をした。
 今までもたくさん話はしていたのだろうけれど、そのほとんどが〝千歳さん〟に関する情報交換だったから、勇朔さんとの恋人同士みたいな会話は新鮮だった。

 もちろん、その中で探していたのが〝千歳さん〟ではなく勇朔さんだったことの誤解は解いたし、勇朔さんにずっと憧れを抱いていたことも白状した。
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