人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「千歳仁斗という名前をなんとなく覚えていたのは、あの隊服に書いてあったからだったんですね」

 勇朔さんを探していたのだと伝えたとき、彼はそう言って納得していた。

 どうやら、予備自衛官補としての任務初日、配給品が間に合わず過去の自衛官のお下がりを着ていたらしい。
 そのときには千歳さんはすでに除隊していたというから、いくら探しても見つからないのも当然である。

 だけど、不思議と時間を無駄にしたとは思わない。
 千歳さんを探していなければ、勇朔さんとは出会えなかったかもしれないから。
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