人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 そんなふうに、たくさん勇朔さんと話をする中で、彼は自身の夢と目標を教えてくれた。

「俺は、今は副官という立場で上官がなにを考え、行動しているのか学んでいる最中です。ですが、この任務が終わったら、俺は指揮幕僚課程を受けるつもりです」

 指揮幕僚課程とは、試験に通った自衛官の幹部が履修できる自衛隊の課程のひとつで、指揮幕僚課程を経ると少なくとも一佐までは昇進できる、というものらしい。

「そこを経て、実力で上官になるつもりです。あなたがそばにいて支えてくれるのなら、俺は自分の道を見失わずに歩くことができますから」

 そう語る勇朔さんは、やっぱりかっこいい。
 その優しい笑みに見惚れていると、不意に頬に口づけを落とされた。
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