人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
【エピローグ】
 それから、一年。

 桜のはらはら舞い落ちる、暖かな春の日に、私と勇朔さんは結婚式を挙げた。
 紫紺色の正装は、国を守る陸上自衛官の証。そんな彼と並ぶ私は、ウェディングドレスを身にまとっている。

 厳かな雰囲気の中、生涯助け合い生きることを誓い合い、キスを交わしてその誓いを閉じ込める。
 バージンロードをふたりで歩き、たくさんの祝福を受けながらフラワーシャワーを浴びた。

 すると勇朔さんは突然、その逞しい腕で急に私を抱き上げる。お姫様抱っこだ。

 こんなの、予定になかったのに!

 真っ赤になりながら、私はそれでも愛しい勇朔さんの首に腕を回した。

「愛しています、芽郁さん」

「私も、愛しています」

 そう告げると、勇朔さんの顔が近づいてくる。

 土砂崩れに遭ったあの日、私の心を救ってくれた自衛官のヒーロー。
 そんな彼と再会し、すれ違いながら愛を育んだ私たち。

 昨日、婚姻届も提出し、私は【羽田芽郁】になった。 

 だけど、名前が変わっただけじゃない。私はこれからは、国も人も心ごと守る、陸上自衛官の旦那を支えて生きてゆく。

 そんな誓いを胸に、私は彼からの優しい口づけを受け取った。



【終】
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