人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 鈴華の手により、あれよあれよという間に初期設定が完了する。

「あとは写真ですね。なんかいい写真ありません?」

「ない」

 あるわけがない。鈴華と違って自撮りなんて元々しないし、やっているSNSもフォローしているのはもっぱら自衛隊関連のものばかりで、情報収集が目的だから自分の投稿なんて一切していない。

「えー」

 鈴華はそう言って私にスマホを返し、自分のスマホを操作し始めた。
 諦めてくれたのかと思ったのもつかの間、ピロン、とスマホがメッセージ受信を知らせる。

「この写真なんかどうですか? この前、芽郁先輩の家で撮ったやつ」

 添付された写真に写っているのは、チューハイ缶片手にほんのりと頬を赤らめた私と鈴華だ。
 この日は鈴華に合コンに数合わせ要員として連れて行かれ、挙げ句いい男がいなかったから飲み直したいと愚痴をこぼされ、それで私の部屋で飲み直したんだっけ。

「え、この写真使うの?」

 思わずぎょっとした。酔っ払って赤らんだ顔が恥ずかしい。

「大丈夫ですよ、赤らんだほっぺは恥じらいがある感じ醸してますし、トロンとした感じもかわいいですし」
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