人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「いいですか、先輩。こういうのはタイミングが大事なんです。一度会ってみて、違ったらごめんなさいでいいんです」

 鈴華の言葉に悪気はないのだろうけれど、私の心はチクリと痛んだ。

「ごめん、やっぱりやめとく。私、人を探してるだけだから。この人には、お断りの返信をしておくよ」

「芽郁先輩は彼の好意を無下にするんですか⁉」

 鈴華は叫ぶと、私からスマホを奪い取る。
 イタいところを突かれ、私は黙りこんだ。プロフィールを入力したのは鈴華だけど、〝千歳さん〟が気づいてくれるかも、なんて、よこしまな気持ちで登録ボタンを押したのは、紛れもなく私自身なのだから。
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