人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています

3 優しくあたたかい彼

 午後一時、駅前の公園口。改札を出た先の雲一つない晴れた空を見上げ、私はやっぱり後悔していた。
 今日は羽田さんとの、デートの日なのだ。

 羽田さんからのお誘いメールは、鈴華に相談したその日のうちに送られてきた。デートの日付は今週の日曜日、クリスマスのちょうど一週間前。

『一度会ってみて、違ったらごめんなさいでいいんです』

 鈴華のその言葉を胸に勇気を出し、今日、ここまでやってきた。

 部屋を出たときは、もしかしたら人探しを手伝ってくれるかもしれない、という思惑もあった。
 だけど、相手の恋心を利用するというのはどうなのだろう、と、待ち合わせ場所であるここに来るまでに何度も自問した。

 デートだからと履いてきたスカートの裾に向かって、ため息をこぼす。
 なに、お洒落してきてるんだと自分にツッコミたくなった。そのとき。

「伊丹、芽郁さんですか? 羽田勇朔です」

 太く男性らしい、それでいて温かい声が頭の上から降ってきた。

「はい、そうで――」

 言いながら見上げ、思わず語尾を飲み込んだ。
 プロフィール欄には一七九センチとあったけれど、思ったよりも大きな背丈の彼はがっちりとしていて肩幅がある。その影がこちらに伸びてきて、肩がぴくりと震えた。
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