人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています

　その日は、朝から雨が降っていた。せっかく咲いた桜も散ってしまいそうな、冷たい雨。時折強くなる雨はあたりを真っ白にする。数時間前から、大雨警報も出ていた。

　雨、やだな。

　国語の先生の声をどこか遠くに聞きながら、ぼうっと降り続く雨を眺めていた。換気のために少しだけ空けられた窓から湿った土の匂いがして、余計に気が滅入る。はあ、とため息をこぼした。

　そんなつまらない気持ちが一変したのは、それから一時間後のこと。祖母がこの大雨の中、慌てるように学校へやってきたのだ。

「良かった、芽郁ちゃんはまだ学校にいたわね」

　祖母はそう言うと、突然涙を流したのだ。

「どうしたの？」

「家の裏の山が崩れて、家が飲み込まれたのよ。私はたまたま用事があって外にいて無事だったけれど」