人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 ゾウ、カバ、サイ、白クマ。大きくて迫力のある動物たちは、見ていて飽きない。
 私は思わず周りにいる子どもと同じように、はしゃぐように声をあげてしまった。勇朔さんはそんな私に嫌な顔ひとつせず、優しく微笑みながら歩いてくれた。

 しばらく色々な動物たちを見て周り、園内のカフェで一息つく。

「まだ見ていないのは爬虫類ですね。ワニとかヘビとか。それからこっちは……ふれあい動物園、か」

 園内マップをカフェのテーブルに広げ、指を差しながら羽田さんが言う。

「羽田さん、つまらなくないですか?」

 温かいカフェオレをいただきながら、私は彼を見上げそう言った。
 先ほどから、私ばかりがはしゃいでいる。羽田さんは隣にいてくれたり、うしろの方で見守っていてくれたりしているのだ。

「そんなことはないですよ。俺はあなたがかわいらしい顔を見せてくれるのが、嬉しいですから」

「え……」

 優しく微笑まれ、思わず胸が跳ねる。

「それに、俺みたいに体の大きい人が前にいたら、他の人が見えないですから。今日は特に、子どもも多いですし」

 羽田さんはそう言いながら、近くを通りかかった子どもに優しい視線を向け、通りやすいようにと肩をすぼめた。

「羽田さんは、優しいですね」

 すると私の言葉に羽田さんは目を瞬かせ、それから「そろそろ混んできましたし、行きましょうか」と席を立つ。ちょうど私がカフェオレを飲み終えたところだった。
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