人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 その後、爬虫類館で大きなワニやヘビを見てまわり、ふれあい動物園へやってきた。ここにはヤギやヒツジの他に、ヒヨコやモルモット、うさぎもいる。

「へえ、小さいな」

 羽田さんはそう言ってしゃがみ、優しくモルモットの背を撫でた。大きな羽田さんの手のもとでは、モルモットもハムスターに見えてしまう。

「うさぎやモルモットは、膝に乗せることもできますよ」

 小動物たちをしゃがんで見ていると、背後から飼育員さんがやってきてそう言った。
 そのとき、白いうさぎが目に入った。垂れ耳の、真っ白なうさぎ。あまりにも〝うさまる〟に似ていて、思わずじっと見てしまう。

「伊丹さん、どうですか? 膝に乗せてみます?」

 勇朔さんが言いながら振り返る。しかし彼は、私の顔を見てはっと目を見開いた。私が泣いていたからだと思う。

「やめておきましょうか」

 そう言うと勇朔さんはさっと私の腕をつかんで立たせ、そのままふれあい動物園から連れ出してくれた。
< 32 / 178 >

この作品をシェア

pagetop