人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「大丈夫ですか?」

 私はこくりと頷いた。

「すみません、突然」

 袖口で涙を拭おうとしたら、羽田さんはポケットからハンカチを取りだし私に差しだした。

「あっちのベンチで、落ち着きましょうか」

 羽田さんは私の手を優しく握り、大きな蓮のある池のほとりのベンチへと誘導してくれた。
 私は反対の手に羽田さんのハンカチを握りながら、まだほろほろと流れ続ける涙を必死に止めようとしていた。
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