人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「ですが大学時代、人を守ることの大変さを思い知りました。命を助けるだけではなく、心も守らなければならないのだと思い知り……、自衛官になったのはそれが理由です。俺は、自衛隊幹部として力をつけ、上官になって〝人の心まで守る〟自衛隊を作りたいと、今はそう思っています」

 羽田さんはそう言い切ると、真剣な眼差しを幾分緩める。柔らかい彼の瞳は、優しくて強くて、かっこいい。

「自衛官の皆さんは、優しい方が多いんですね」

 ふと、そんな言葉が口からもれた。
 あの日、うさまるを見つけてくれた千歳さんも、今目の前にいる羽田さんも、自衛官として、誰かを守ろうとしている。
 羽田さんがそんな使命感あふれる人なのだと分かると、よこしまな気持ちで今日のデートに臨んでしまったことが改めて申し訳なくなる。

 メインディッシュの最後のひと口を口に運びながら、私は彼の気持ちに応えるべき人間じゃない、この恋はきちんとお断りしなければと、思った。
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