人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 驚き、頭が真っ白になった。

 家が、土砂崩れに巻き込まれた……?

 ニュースなどで何度かそういう映像を見たことがあったけれど、まさか自分の身に降りかかるなんて思ってもみなかった。

 遠くに、消防のサイレンの音が聞こえる。きっと我が家の方へ向かっているのだろう。それで、はっとした。

「命に何もなくて本当に良かっ――」

「良くないよ! うさまるは⁉」

 祖母の声をさえぎり、声を荒げた。すると祖母は顔を伏せる。
 その表情を見ていると、いてもたってもいられなくなる。私はまだ下校時間になっていないにも関わらず、降り続く雨の中、傘もささずに学校を飛び出した。
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