人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 顔を上げた先で真剣な瞳と目が合う。どきりと胸が鳴り、思わず頬が熱くなる。
 だけど同時に、私は彼に恋心を告げられて喜ぶ資格はない人間なのだと余計に思い、顔を歪ませてしまった。

 私は恋がしたいわけじゃないのに、マッチングアプリを通じて彼と出会ってしまった。千歳さん探しを、手伝ってくれるかもしれない、なんて自分勝手な気持ちで。
 だから――。

「ごめんなさい」

 私は意を決して口を開いた。コーヒーのほろ苦い味が口の中に広がり、胸に広がる。
 彼の顔が歪み、私は咄嗟に口を開いた。

「羽田さんはとても素敵な方だと思うんです! かっこいいですし、優しいですし。でも、私は――」

 一度唇を噛み、不順な動機で来てしまったことを後悔しながら、私は再び口を開いた。

「とある自衛官の方を探していて、それであのアプリに登録したんです。誰かと恋がしたいわけじゃなかったんです。本当、申し訳ないなって思うんですけど、でもどうしても見つけたい方がいて、だから――」

 言いながら、羽田さんの気持ちを考えていなかった自分に改めて気づかされ、余計に申し訳なくなった。羽田さんはきっと、純粋に私を好いてくれているのだろう。
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