人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「本当に、ごめんなさい」

 彼の気持ちを利用しようとした、最低な自分が嫌になる。羽田さんが、思っていたよりもずっと優しいから、余計に罪悪感が募る。それなのに。

「自衛官を、探しているのですか?」

 羽田さんはこんな最低な私にも、優しく声を掛けてくれた。

「はい。土砂災害に遭ったときに、助けてくれた方なんです」

 すると、羽田さんは「なるほど」と顎に手を当てる。

「具体的な名前を、お伺いしても?」

「千歳仁斗さん、という方です」

「千歳、仁斗……」

 私の紡いだ彼の名前を繰り返す羽田さんに、思わず前のめりになる。

「ご存知ですか? 八年前、第百二施設直接支援大隊の二等陸曹だった方です」
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