人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「あなたひとりで自衛官を探すより、内部の人間の協力があった方が早く見つかると思うんです。八年前に二等陸曹だったということは、今はもう違う隊に配属されていると思います。彼が出世し幹部になっていたら、転勤スピードは曹士より早くなります。それで、あなたも探すのに困難を極めているのでしょう」

 確かに、なかなか彼を見つけられない理由はそこにある。津々浦々の駐屯地を訪れ、ひとつひとつしらみ潰しに探すしかないのだから。
 だけど、本当に良いのだろうか。

「あなたが好きだから、あなたの助けになりたいんです」

 真剣な瞳でじっと見つめられ、鼓動が早まる。どぎまぎしながら彼を見つめ返した。彼は私の返事を待っている。

「……分かりました」

 私はつい、そう返していた。羽田さんはほっとしたように頬を幾分緩め、優しく微笑んでいた。
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