人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「これを、どうぞ」

 手渡されたのは、動物園のロゴが入った紙袋だ。

「これ……」

「あなたが、最後に見ていたので」

 袋を開け、はっとした。思わず目に涙が浮かび、慌てて指で拭った。

 入っていたのは、動物園のお土産屋で見かけた白いうさぎのぬいぐるみだ。あのとき、まさか彼が私の視線の先まで見ていたなんて。

「あなたのご両親の思い出の代わりにはならないかもしれませんが……それでも、俺はあなたを支えたいと思っています」

「羽田さん……」

 彼は涙ぐんだ私を真っ直ぐに見つめる。エントランスの灯りに照らされた彼の顔は、心配そうに眉を八の字に曲げている。

「ご迷惑、でしたか?」

「いえ、……とても嬉しいです」

 首を横に振りながら伝えると、羽田さんはほっと息をつく。そのとき、冷たい風が北から吹いてきた。

「冷えてしまいますね。引き止めてしまい、申し訳なかったです。おやすみなさい」

「おやすみなさい」

 優しい笑みをもう一度私に向けると、羽田さんは背を向け去っていった。
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