人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 部屋に入ると、私は羽田さんにもらったぬいぐるみをうさまるのプレートの横に飾った。それから、うさまるのネームプレートを手に取り、裏返した。
 あの日、私を救ってくれた〝千歳さん〟の文字が、あの日のままで残っている。

 指の腹で、そっとその文字をなぞった。

 あの日、うさまるが生きていたとしても、もうとっくに寿命を迎えているだろう。
 だけど、うさまるにそっくりなぬいぐるみを並べると、うさまるがもう一度私の手に戻ってきてくれたような気がする。

 羽田さん、優しかったな。

 プレートを元に戻し、しばらく眺めてから、私は寝る支度を整え、布団に入った。そのまま温かい気持ちで眠りにつけたのは、きっと彼のおかげだ。
< 47 / 178 >

この作品をシェア

pagetop