人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「お仕事帰りですか?」

「はい。羽田さんは?」

「俺はランニング中でした。俺の部屋、あそこの駐屯地の近くなので」

 羽田さんは駅の向こう、線路の先の方を指差しながら言った。

 なるほど、確かに三駅ほど隣に自衛隊の駐屯地がある。大きな駐屯地だから、そこの師団長の副官を勤めている羽田さんはすごい人なのかもしれないと、改めて思った。

「芽郁さんの勤め先、この辺りなのですか?」

 羽田さんはランニングをしていたはずなのに、息もあげずにさらりと言う。

「はい。自宅よりも会社のほうが、羽田さんの職場にもご自宅にも近いですね」

 言いながら苦笑いをこぼすと、羽田さんもふふっと笑った。

「せっかくなので、ご自宅まで送らせてください」
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