人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「三駅走っても息があがらないなんて、さすがですね」

 帰りの電車に揺られながら言うと、羽田さんは優しく微笑んだ。
 私の住むマンションは、駐屯地とは反対方向に五駅先だ。

「確かに、今日は少し走りすぎました。でも、あなたに会えて良かったです」

 さらりとそう言われ、急激に頬が火照った。

 それから、彼にトレーニングの話を聞いた。
 羽田さんは走り込みや筋トレなどを自主的にしているらしい。副官に就いてから、勤務時間内のトレーニング時間がめっきり減ってしまったそうだ。

「有事の際に体力不足で()を上げていては、元も子もないですから」

 羽田さんはそう言って笑ったけれど、私はストイックだなと思った。
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