人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 羽田さんと出会う前に決めていた予定だから、もう飛行機もホテルも予約してしまっている。
 それに、いくら羽田さんと出会ったからといって、〝千歳さん探し〟を羽田さんだけに任せるわけにはいかない。私も、動けるところは動かないと。

 そう思って、伝えたのだけれど。

「熊本……北熊本駐屯地ですか?」

 羽田さんは言いながら、顎に手を置く。

「はい、そうですが」

「もしよろしければ、ご一緒しても?」

 羽田さんはそう言うと、「ご迷惑でしたら断ってください」と付け加えた。

「三年前まで第八師団にいたもので、あそこでしたら少々顔が利くといいますか、あなたのお役に立てるかなと思いまして」

 ぽかんとしてしまったが、なるほどそういうことかと納得する。
 第八師団は北熊本駐屯地の主たる師団だ。
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