人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「千歳、仁斗……ちょっと分からないですね。幾つくらいの人ですか?」

 羽田さんと男性がこちらを見る。

「八年前に助けていただいたので、今は三十代だと思うのですが、……正確な年齢が分からなくてすみません」

 男性は「んー、俺の知る限りでは分からないです」と申し訳無さそうな顔をした。

「いえ、ありがとうございます」

 私がそう言うと、男性は「駐屯地の冬祭り、楽しんでくださいね」と微笑んでくれた。

「彼は、この駐屯地にいた頃の、直属の部下なんです」

 敷地内に足を踏み入れながら、羽田さんがそう言った。

「そうなんですね」

「第八師団は大きな師団です。〝千歳〟を彼が知らないだけの可能性もありますから」

 どうやら、私は残念そうな顔をしていたらしい。彼の私を気遣うような声色に、申し訳なくなった。

「でも、私ひとりじゃこんなにスムーズに訊けなかったので。ありがとうございます」

 慌てて言うと、羽田さんは優しく微笑んだ。
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