人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「自衛隊の皆さんが、日々こうやって私たちを守ってくれているんだって、改めて実感しました」

 戦車を向こうに見ながらそう言うと、羽田さんが繋いでいた手に力を込める。

「俺たちが守りたいのは、日本という国であり、そこに生きる人です。こういう平和な景色を、ずっと未来まで守っていきたいと思っています」

 戦車の前でピースをする子どもが目に入る。羽田さんの言葉も相まって、当たり前の景色が当たり前に目の前にあることの意味を、私は改めて意識させられた。

「かっこいいですね」

「いえ。それが自衛官の使命ですから」

 私の言葉に、羽田さんは平然とそう答える。その力強い瞳には、この国の平和な未来が映っているような気がした。
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