人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 日も暮れ、辺りが夕闇に包まれると、駐屯地内ではドローンショーが始まった。光の集まりが私や他の来場者を魅了する。

 やがて花火が上がり、今日のクライマックスを迎える。私たちは最後まで駐屯地祭りを楽しみ、ホテルに着く頃には午後九時を過ぎていた。

 羽田さんも私と同じホテルに部屋を取っていたが、もちろん別の部屋だ。
「おやすみなさい」とロビーで別れ、部屋に入ると私はべッドに潜り込んだ。

 今回も、千歳さんを見つけることはできなかった。いつもなら落ち込んでいるところだ。
 でも、今回はあまり落ち込んでいない。隣に羽田さんがいてくれたからだと思う。

 まだ出会ったばかりなのに、私は彼の優しさに、何度助けられているのだろう。気がつけば羽田さんのことばかり考え、胸がどきどきする。
 だけど私は今はまだ、この気持ちに気づかないふりをした。

 私は、〝千歳さん〟を探し出し、あの日のお礼を伝えなければならない。
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