人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「はい⁉」

 唐突な彼の申し入れに、思わず大声が出た。彼の言葉と表情が一致していないのも違和感がある。

「すみません、藪から棒に」

 羽田さんはそう言うと、どきまぎする私に向かって理由を紡ぎ出した。

「自衛官の婚約者という立場になれば、あなたも色々と動きやすいだろうと思ったんです。自衛官の身内なら、官舎にも入居できますし」

 驚きのあまり固まったままでいると、「今回、〝千歳〟を見つけられなかったので」と羽田さんは付け加えた。なるほど、私が千歳さん探しをしやすいように、提案してくれているらしい。

「最近、ちょうど家族向けの官舎が一部屋空いたんです。今なら婚約者だといえば一緒に入居できます。官舎には色んな部隊の家族が住んでますから、俺の調べられる範囲以外の自衛官にも近づけるかと」
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