人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 聞けば聞くほど、彼が私のことを考えて言ってくれているのは分かるし、ありがたい。
 でも、それはつまり〝一緒に住む〟ということだ。

 すぐに答えが出せず困っていると、羽田さんは再び口を開いた。

「もちろん、一緒に住むといっても部屋は別にしようと思っています。家族向けの官舎なので、二部屋以上はあるはずですから」

 羽田さんは淡々と言う。

「それに、この間ランニングしていて知りましたが、今のあなたの部屋よりも官舎からの方が、あなたの職場にも近いかと」

 確かに、たくさんのメリットがある。でも、本当にいいのかな?

「もしも不安だというのなら、俺は職場に寝泊まりします。仕事が忙しいといえば、官舎に帰らなくとも不自然ではないですから」

「いやいや、それは……」

 そんなことはさせられない。私なんかのために、そこまでしてもらうのは申し訳ない。
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