人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
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 年が明け、一月のある日。私はさっそく、陸上自衛隊の官舎へと引っ越しをしていた。

 私たちの入居する官舎は駐屯地の入口まで歩いて五分程度の場所で、駅までは歩いて十分くらい。近くにはスーパーやコンビニもあるし、なにより自衛官が多いので治安もいいのだそう。

 官舎は綺麗な三階建てのマンションで、私たちは三階の角部屋に住むことになった。

 元々入居していた羽田さんの先輩自衛官が、マイホームを建てたため出ていくことになり、部屋が空いたのだという。
 普段は官舎の空き待ちの自衛官もいるらしく、すぐに入居できるのはどうやらラッキーなことらしい。

 しかも、その前の住人である自衛官はマイホーム購入時に家具もこだわって一新したらしく、一通りの物を置いていってくれた。私たちの新生活には、うってつけというわけである。

 そういうわけで、私が引っ越しのために持参したのは、大きい物だとベッドと机とチェストくらい。あとは年末から細々と段ボールに詰めていたから、大物を引越し業者に運んでもらうだけで引っ越し自体はすぐに終わった。

 今は、段ボールに詰めたものを私の部屋で取り出す作業をしている。
 羽田さんも、隣の部屋で自身の物を色々と片付けているらしい。
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