人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「なにこれ! ……ちぇ、ラップじゃん」
「そういうこと言ったらダメだよ」

 愛入ちゃんが琉人くんにそう言って、思わずふふっと笑いがもれた。

「ああ、お恥ずかしい。すみません、いつもこんな感じで」

 成田さんは笑顔でそう言い、それから私の方を向くとなぜか顔をじっと見る。

「何か?」

「あ、いえ。こちらこそ、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

 私たちは頭を下げて、成田さん宅からおいとました。

「なんだか、にぎやかになりそうですね」

 私がそう言うと、「そうですね」と羽田さんは微笑んだ。
 部屋に戻ると、先に玄関を上がった羽田さんが体ごとこちらを振り返った。

「これから、よろしくお願いします。芽郁さん」
< 70 / 85 >

この作品をシェア

pagetop