人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「行ってきます」

 勇朔さんは言いながら、なぜか笑みを深めた。

「行ってらっしゃい」

 私がそう言うと、勇朔さんは扉を開けて出ていく。外の冷たい空気が家の中に入ってきて、思わずぶるりと体が震えた。

 それで目が覚め、はっとした。とんでもなくゆるんだ顔をしていたと気づき、途端に羞恥で顔が熱くなる。

 勇朔さんは優しい。だからって、気を抜きすぎでしょ私!

 慌てて洗面台で顔を洗い、しゃきっとしてから勇朔さんが作ってくれた朝食をいただく。

 その頃にはほっと息をつけるくらいには落ち着いていたけれど、勇朔さんとのふたり暮らしは始まったばかりだ。気を抜かないようにしなくてはと、誓いを新たに仕事へ向かった。
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