人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「行ってらっしゃい」

 私は三人を見送ってから掃き掃除に戻ったけれど、頭の中は先程聞いた勇朔さんの話でいっぱいだった。

 確かに最初の頃、勇朔さんの私へのアピールはすごかった。アプリに届いた〝スキ〟の数とメッセージに驚き、思わず鈴華に助けを求めてしまったほどだ。
 だけど、まさか駐屯地内でそんな話が広がっていたなんて。

 意識してしまえば、胸は勝手に高鳴る。

 勇朔さんが優しいからすっかり忘れていたが、彼は私が好きなのだ。好きだから〝千歳さん探し〟に協力してくれているし、好きだからこうしてここに婚約者として住まわせてくれているのだ。

 そう思うと嬉しくて、やっぱり頬が垂れてしまう。それで、私は気づいてしまった。

 私、勇朔さんのこと、けっこう好きになってる……?
< 85 / 178 >

この作品をシェア

pagetop