人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
【3章 彼のためにできること】

1 三度目のデート

 その日、私は残業せずにまっすぐに帰宅した。なんとなく、勇朔さんに早く会いたくなったのだ。

「おかえりなさい」

 玄関を開けると、いつもトレーニングをしているはずの勇朔さんは部屋着にエプロン姿で、キッチンの方からこちらにひょっこり頭を出した。いつもより私の帰宅が早かったからだろう。

「ただいま戻りました」

 私の声に勇朔さんは優しく微笑む。その笑みの中に、彼の私への恋心が見えてしまい、私の頬は早急に熱くなった。

「ご飯、できてますがもう食べますか? それとも――」

「食べます!」

 なんだかやりとりが新婚のそれみたいになってしまったことに気づき、慌てて口を開く。
 勇朔さんは「分かりました」と柔らかく微笑んで、キッチンへと戻っていった。
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